財産分与のやり方
財産分与とは婚姻中に形成した夫婦の財産を離婚をする際または離婚後に分け合うことを言います。
1.離婚相手と合意をした上で、離婚協議書を作成する
必ず作成しなければならないものではないですが、後日紛争を防止するために離婚協議書を作成して、お互いに署名と実印で押印をすることをお勧めします。この離婚協議書に相手方との合意事項をまとめていきます。具体的には下記の内容を記載していきます。財産分与の請求権は離婚から2年で時効にかかり、離婚後は相手と交信をとることが困難になることが多いので、なるべく婚姻中に内容をまとめていく必要があります。
- 離婚に合意し、協議離婚すること
- 離婚届提出日と提出者
- 財産分与の具体的内容(分与する財産の特定、支払う側・受け取る側の特定、支払う額、支払い方法、支払日など)
- 年金分割の割合
- 慰謝料(支払う側・受け取る側の特定、金額、支払い方法、支払日など)
- 養育費(支払う側・受け取る側の特定、金額、支払い方法、支払日、支払いの終期、事故や病気で特別な出費が必要になった場合の双方の負担をどうするかなど)
- 未成年の子どもの親権者・監護者の決定
- 面会交流(面会の頻度、面会の時間、子どもの受け渡し方法など)
- (強制執行認諾文言付き公正証書を作成することの同意)
- 同じ書面を2通作成し、1通ずつ保管する旨
2.財産分与による所有権移転登記に必要な書類
不動産は高額な財産であることが多いので、当事者間で登記を行うよりも司法書士に任せることをお勧めします。理由は、財産分与は離婚後に行われるため、必要書類が整っていないまま離婚届を出してしまうと相手の協力がもはや得られず、登記申請ができなくなる危険があるからです。また、せっかく話し合いがまとまり、書類を作成できても、不動産の表示を正確に記載しないと、登記が受理されません。さらに、登記識別情報通知(登記済証)が対象不動産のものであるかどうかのチェックが必要になります。こちらも対象の不動産のものでない場合、登記は却下されます。離婚後にもう一度相手側に書類作成の協力を得られるかは分かりません。よって、最初から登記手続きの専門家である司法書士に任せることをお勧めします。
下記必要書類は司法書士に任せた場合です。
不動産をもらう人の必要書類
- 住民票
- 実印
- 離婚後の戸籍謄本
- 委任状
- 本人確認情報(運転免許証など)
不動産をあげる人の必要書類
- 登記識別情報通知または登記済証(権利証)
- 印鑑証明書(発効から3か月以内)
- 不動産の評価証明書
- 実印
- 委任状
- 本人確認情報(運転免許証など)
3.税金について
- 贈与税
不動産をもらう側に対して、原則としてかかりません。 - 不動産取得税
不動産をもらう側に対して、原則としてかかりません。 - 譲渡所得税
不動産をあげる側にかかります。但し居住用不動産の特例で3000万円の控除枠を使える場合があります。夫婦間では使えないので、離婚後に本特例を利用します。 - 登録免許税
登記をする際に、評価証明書に記載されている不動産の額の2%が税金としてかかります。1000万円の物件なら20万円が登録免許税となります。
いかがでしたか?契約書の作成や不動産登記、税金についてなど離婚の際には考えなければならないことが沢山あることが理解できたかと思います。当事者間だけで全てを済まそうとすると思わぬ事故や後々の紛争に繋がりかねませんので、皆さんの身近にいる司法書士にご相談することをお勧めします。
きっと皆さんのお力になってくれるはずです。しっかりと準備をして無事に手続きを終えて、新しい人生を踏み出す契機にしていただければ幸いです。
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